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#31 「正直驕りがあった」LayerX、怒涛の反省と1年間【福島x松本x手嶋対談】
今回は2021年振り返り回として、代表取締役 CEOの福島・代表取締役 CTOの松本・取締役の手嶋の3名で鼎談しました。
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挨拶
松本:LayerXNow!、今回で31回になるかわからないんですけど、今回は手嶋さんに司会していただいて、LayerXの1年を振り返ろうという特別回になります
ゲストは手嶋さんと福島さんに来ていただいています。よろしくお願いします。
手嶋:僕はLayerXの取締役としての顔もあるんですが、メインの業務はこういう司会業をやっておりまして、今日も頑張っていきたいと思います。
1:40 2021年1月、バクラク(旧:LayerXインボイス)リリース秘話
手嶋:2021年のLayerXは結構激動だったんで、大きいトピックスに絞りながら、福島さんと松本さんの両代表に聞いていきたいと思います。
実は1年前って結構大昔に感じてまして、1月時点では松本さんは社内に存在しなかったですよね。お手伝いで関わってくれてる時期で、3月に正式に就任していただいたんですけど、福島さんその頃どう経営してたんですか?
福島:そうですね、2021年の1月はほぼ何もない状況で、ちょうど今のSaaS事業、旧LayerXインボイス、現バクラク請求書をリリースしたのが2021年1月でした。
手嶋:ほんとは3月にリリース予定だったんですよね。ただ1月の最初の経営会議で、もう出しちゃった方がいいんじゃない?って翌週出しちゃったってやつですね。
福島:ですね。なので経営するものがなかったですね。
今松本さんが見ているMDM(三井物産デジタルアセットマネジメント)Fintech事業は執行役員の丸野が見ていて、現プライバシーテック(旧ブロックチェーン)事業部は手嶋さんが見てましたよね。
手嶋:ですね。ブロックチェーンの受託事業の撤退戦というか、ちゃんと段取りを踏もうということで僕が担当していて、その1ヶ月前の2020年12月のリリースも凄く昔に感じます。JCBとLayerX、CBDC時代を見据え、複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラに関する共同研究を開始。
松本:Anonifyやってたときですね。
手嶋:そうですね。その原型を1月に出して、長い仕込み期間の終盤戦って感じでしたね。
4:09 1~3月、受注1件だったバクラク(旧:LayerXインボイス)
手嶋:1、2、3月どうでしたか?LayerXインボイス出して、ブロックチェーンから転換してよかった!って感じでした?
福島:いや、結構やばくて。2月僕の記憶だと受注が0で、Salesforce上の記録だと受注が1だったっていう、。
手嶋:我々スタートアップに繋がりあるからとか言って、色んな経営者に声かけて、それで1件。福島さんも営業してましたよね。
福島:そうですね。しかも1件まったく関係ないとこで受注しました。スタートアップは全部断られて。普通にインバウンドで入ってきたお客様が成約したって感じですね。
手嶋:その頃ってなんで断られてたんですか?
福島:結構色々理由があったんですけど、根本的に機能が足りてなかったんです。コアな部分:OCRで自動で読み取って仕分けを予測して会計ソフトに出す。言葉にすると簡単なんですけど、会計ソフトに出力とか仕訳を切るってところが結構曲者で、個社個社の事情ですごく細かいところまで含めての開発がすごくあったんですよね。
僕らがリリースした頃ってデモ見せていい反応もらえるからいけるじゃん!と、MVP的なものはできていたんですけど、社内でよくMVPとMSP、Minimum Viable ProductとMinimum Sellable Product、価値を評価できる最小限のプロダクトと売れる最小限のプロダクトはだいぶ違うよねってことをそのとき初めて認識しました。全然Sellableじゃなかった。そこに対して頑張って営業して、結構みなさんいい人なんでフィードバックいっぱいくれたんですよね。ここがこうなったら入れるよって。そこが回り始めたのが4月くらいのタイミングでした。なので根本的にプロダクトの機能不足で入らなかったっということ
手嶋:なるほど、そんな1、2月。出したはいいけど…
福島:覚えてるんですけど、2月くらいの経営会議でSansanが出しているBill Oneが広い意味で競合じゃないですか、今直接商談で競合するかっていうと競合しないんですけど広い意味では競合で。彼らがSMB無料化と、テレビCMを同時にやってきて、2月の受注1だったんですけど、僕ら経営会議ではアクセル踏もうぜって会議してましたね。
当時10人超えないくらいの少数精鋭でやってたじゃないですか。これを2、30人くらいに増やして戦わないとついていけないからっていう意思決定を2月の段階でしていましたね。
手嶋:市場はあるはずだし、正直まだうちのプロダクト刺さってないけど、競合がそこまでやるんだったらリスクをとってついていかないと、いずれにせよ勝てないよねって話でしたよね。
福島:という議論でしたね。PMFしてないけど踏まざると得ない。Sansanがあれだけ踏むんだからニーズがあるはずたっていうそこだけを信じて突っ込んでいったっていう。あとはヒアリングの中でニーズは感じていたんですよね、
手嶋:そんな1月2月、メンバーも30人くらいで、ブロックチェーン時代のメンバーが中心。
採用は凍結してましたよね。
福島:その議論の段階でようやく再開させようぐらいな感じでしたね。
そこから動いて多分3ヶ月くらいで人が採れ始めたみたいな。
手嶋:その前の年に石黒さんが入ってきてくれて、ブロックチェーンから転換で採用凍結して、石黒さんも採用のために入ってくれたのにやることなくなって、営業してたね。
福島:石黒さんと僕が営業してました(笑)
9:01 松本さんの入社、改めて見たLayerXと当時の思い出
手嶋:そういう時代があり。そして社内のトピックスが3月に移るといよいよ松本さんが入ってきましたと。3月1日に松本さんが入社して、大昔のことのように感じるかもしれないんですけど、入ってみて何か違い、ギャップがあったのかとか、どう感じて何から手をつけていこうと思ったかとかそのときの気分覚えてますか?
松本:一番思ったのは、LayerXの立ち上げを福島さんとブロックチェーンで悩んでた時代一緒にやっていて、そこから話はしつつも、入社して思ったのが、「え、全然違う会社になってる」っていうのが最初の印象でしたね。特に僕が一番変化を感じたのがmosa(メンバー)だったんですけど。mosaが営業をしてたんだ!みたいな。
福島:先陣を切ってましたね。
手嶋:敏腕コンサルタントでしたからね、一時は。
松本:敏腕コンサルタントだし、凄腕プロダクトマネージャーですよ。
手嶋:リードエンジニアでもあるって感じですからね。
松本:なんか、僕はmosaに変化の象徴みたいなものを感じていて。その彼筆頭に全然違う会社になったなっていうのが第一印象だったんですよね。その中で結構事業もいくつもやっていて、福島さんはその瞬間も目の中には必ずSaaSって文字が浮かび上がってるくらいSaaSのことばっかり考えてた。これは福島さんがSaaSに集中できるように、それ以外全部巻き取るぞっていうのが、3月時点での覚悟でしたね。
手嶋:実は、LayerXの経営において重要な意思決定っていうのは振り返ると何回かこの1年あったと思うんですけど、いよいよ福島さんが今そういう状況にできてる状況ですよね。ちょうどこの数か月くらいで、LayerXの今の経営の形だと松本さんがそれ以外の事業を名実ともに見て、福島さんはある種日常的にはSaaSに集中できてるって感じですけども。
福島:そうですね。
手嶋:そっから福島さん、気分は変わりましたか?ようするに3つ事業を並走して見なきゃいけないってところから、今日常的にはSaaSに集中できてると思うんですけど。
福島:結構変わりましたね。結構会議体とかもいじったじゃないですか。そういうのも含めて、僕の意識も変わったし、メンバーの意識もいい意味でかなり変わったかなって。昨日実は久しぶりに中村さんと1on1して。ほんとに久々に第三者目線で今松本さんとかが見ている事業のことを聞いたんですけど、逆に集中して聞けたし、なんか自分のSaaSに対する集中力も上がってるし、中村さんの視点も全然変わっていて。この2ヶ月くらいいい意味でチームとして仕上がってきているなって感じました。
13:14 複数事業を回せたのはみんなの力
手嶋:LayerXは比較的幹部が多かったんだけど、それがここにきて生きてきているなって感じですよね。なんで3事業をなんで3つもできるんですかって点でいくと、実は福島さん1人がスーパーマン、そういう要素も実はあるんだけど、それだけじゃなくてやっぱり幹部が充実してるから3つできてるって感じですよね。
福島:そうですね。シンプルにすごいですもんね。
手嶋:そんな感じで経営体制的には今、代表取締役間で事業を明確に区分しながら、全員で知恵を絞るときは集中して絞ろうみたいな。日常的にはそれぞれの持ち場集中ね、みたいなことを、実は重要な意思決定として最近明確にしましたっていうのがLayerXの中であって、それぞれの持ち場で勝ってこうってやっているんですよね。
14:12 バクラク:想定から成長の理由
手嶋:事業の話でいくと、バクラクシリーズこの1年どうですか?
福島:そうですね。1月の事業計画を改めて見直してみると想定通りの数値ってなんですけど、僕の感覚的には想定以上に伸びてたはずなんで、相当欲張りな計画だったんだなって1月の計画を振り返って最近思いました(笑)
手嶋:正直我々素人だったからさ、すごくうまくいっている会社のケースを引っ張ってきてたじゃない、SmartHRがこのときどうだったとかって。相当うまくいってる会社を元に計画を立ててたから、そのときの我々からすると「これどうやって達成するんだろう?」みたいな感じだったもんね
福島:正直、6月7月くらいまでは達成できるイメージがまったくなかったんですよね。ただそこくらいにやっぱり入ってきたメンバーが、いわゆるSaaS企業で僕らよりちょいフェーズ先くらいのプレIPOとかの方が結構転職してくるタイミングがあったじゃないですか。そこで高速道路がひかれていった感じですね、
こうやったらリード獲得できるよ、こうやったらスケールするよみたいなところをまさに僕らの遺伝子の中に注入して、いわゆるその人が前いた会社のよさそうな文化とかよさそうな施策とかがうちに全部コピーされて、走ってみたいなことが6月7月くらいからかなり回り出したなと。そこからはいけるなって感覚にすごい変わりましたね。
手嶋:しかもそれって特定の会社から来ているわけじゃなくて、一社ずつ色んな知恵を持った人が入ってくれて、この2、3年のスタートアップ産業のSaaS事業の知恵の蓄積に助けられた感じだよね。
福島:そうですね。相当試行錯誤してやれてる部分をすごいスキップできたって感じですね。
17:19 どうする?これからのバクラク
手嶋:わかりやすいところでいうとnoteに色んな知恵がたまってきてて、ファイナンスのことを吸収できるとかもあるけど、一定人材の流動性が生まれることによって社会の発展にいい方向行ってるのは、社内を見ていても思ったりしますね。そういう意味だとバクラクって名前に変えたのも、結構手ごたえあったんでマス向けにしていきたいなって宣言だと思うんですけど、どんな感じの広がり方でどれくらいまで広げたいですか?
福島:今SaaS事業に限っていうと日本でインフラになりそうなSaaS事業と、そうじゃないSaaS事業って今年来年とかで分かれそうな雰囲気が出てると思うんです。1年目は合格点をとれたかなってところで2年目もまだ始まっていない来期のことなんですけど、多分すでに実は合格点がとれそうなので今3年目の施策を仕込み初めているって感じです。
そのためには幅広い全国展開とか、今までSaaS触っていませんみたいな層にも訴求していかないと、3, 4年目の成長作れない。
請求書の処理とかアナログの処理でバックオフィスが非効率ですってところにどう届けるかっていうのが意気込みにあります。ある意味名前変えただけなんですけど、LayerXって伝わりますかって。
手嶋:社内では結構LayerXって名前をプライド持ってるしかっこいいと自覚していて、愛着があるから最後までなんかLayerXって名前使えないかって議論もありましたね。
僕がすごいなと思ったのは、実はバクラクって名前を変えるプロセスに福島さん入ってませんもんね。
福島:そうですね。
手嶋:だからそれくらい自律的に社内で色んなことが起きてる会社っていうのは、そういうところからわかるかなって。だってなんか意見くらいは言ったと思うけど、そんな強くも言ってないよね?いいとか悪いとか。
19:56 バクラクにリブランディングした背景
福島:ですね。実は割と現場レベルで最初上がってきていて。営業で電話したりとか、商談で最初LayerXですって言うときに、相手先の顧客が読めないって現象が多々見受けられたんですよ。ライヤーエックスさんとか、レイヤーテンさんとか、なんて読むんですかこれ?みたいな。これだと大規模マーケティングとか仕掛けるときにスケールできませんというのは、割と現場レベルで上がってきたんですよね。そこに危機感を感じて、色々賛否両論あるけど名前変えますということを経営会議で議論として上げて、どんどん進んでいきましたよね。
手嶋:決定までの間、別に福島さんいいも悪いもなんも言ってないもんね。
福島:名前を変えようすら言わずに、ただ名前変えることに対しては全面的に賛成でした。どこかでやるべきだと思っていたので、そういうのが自発的に上がってくる組織になっていますね。
21:25 Fintech事業(MDM):発展の道のり
手嶋:一方松本さん3月に入って、今MDMとプライバシーテック事業をそれぞれ結構執行役員と二人三脚でやっているって感じですけど。まずFintechの事業、三井物産との合弁会社はどんな時間でしたか?
松本:そうですね、9ヶ月なんですけど、長かったです。1番はやっぱりライセンスビジネスって難しいねっていうのをまざまざと感じる1年でした。
手嶋:松本さんもライセンスが関わるビジネスは初めてですか?
松本:自分で取りに行くのはそうですね。自分の関わっていたところにそのライセンスがあったっていうのはありましたけど、やっぱり取る過程の方が重くて、何もないところなのでやっぱり厳しく見られたり。
MDMの証券業の1種2種取って運用の取ってっていう、割りと全国見ても数十社しかないんですよね、ラインセンス全部持っているのは。しかも数十社ってことは大手系の子会社なんですよね。その中でスタートアップも入っているよくわからない会社が当局と連携取りながらライセンス取るのはすごく大変な作業なんだな、ここはパートナーの各社に感謝しかないなっていうのが感じました。その間はシステム作ってもリリースできないんで、モヤモヤした前半でした。
あと入ったときは構想がまだまだ整理されていなかったので、その交通整理をひたすらしていて、その結果社内でプロダクトが増えてきて、いくつかリリースされて効率化が進んでるっていう、そんな感じのことをやっています。
手嶋:多分世の中の人でうちいろんな観点で興味持ってくれてる人も、三井物産と合弁会社作っているのはわかるけど、実態として何やってるのか全然わからないんですよね、
正直スタートアップと大企業が組んだケースとしては結構可能性秘め始めているかなっていう感じがしますけど、そこらへんの大企業とのジョイントスタートアップの観点でいくと、どういう組織コンディションで組織の中で何が起きているんですか?
松本:やっぱり大企業と連携していることで、アセットマネジメントってビジネスの難しさ、スタートアップでもしやろうとしたら、やっぱ例えば建物とか、証券にするための原資産が必要なんですよね。それが今、手元に数百億積み上がってるんですよ、お客さんに売れるものが。
でも普通にスタートアップでやると多分頑張っても初年度1件数億くらいの戦い方になるところが、いきなり数百億。この戦い方ができている時点で大企業の力はすごいなと感じています。これに大企業とスタートアップの融合はすごくうまくできていて、みんなslackって何?みたいなところから、きちんと連携するプロセスが作れているんです。
今メンバーが社内のいろんなツール見ている中でこれは自動化できるよね、これはツール化できるよねっていうのを丁寧に観察して各大企業のみなさんが持っているエキスパートのノウハウをひたすら観察してそれをプロダクトに落とすみたいなことをやっていて、このプロセスがうまく回せている時点で、すごくうまく連携ができている会社だなと思っています。
これの積み上げなんですよね、大企業連携でうまくいくかどうかというのは。毎週毎週新しい改善が生まれているかってってところが、すごくこんな大企業連携でうまくいくんだって自分でも驚くくらいのステータスが作れていると思います。
手嶋:僕も色々プレゼンして、色んなスタートアップを刺激したいなって思いますね。
そういうの増えた方がいいと思うんで。ただうまく活かすのって相当難しいですけど。一方他の大企業の方からも、柔らかくお問い合わせいただくことはあるんですけど、今はリソース的にできないって感じですよね。同じような取り組みっていうのは。
松本:ここまで深くは無理ですね。うまくいってる理由の一つって、僕らも全力で人をコミットしているからだと思います。SaaSでも人欲しいところだと思うんですけど、福島さんすみません、ここから人は動かしませんって言って十数名の体制組んでやらせてもらっていて。そして丸野っていう貴重な一大戦力をリーダーとして一緒に戦わせてもらっているっていうのが大きいです。
27:48 経営的なPrivacy Techの位置付け
手嶋:あと3つめの事業のプライバシーテック事業っていうのを解説しておくと、これは松本さん管轄なんですけど、実態としてはうちの執行役員の中村龍矢氏が社内にいるアントレプレナーとして立ち上げているスタンスに明確にしたんですよね。
松本:明確に予算も決めて、その範囲内で、スタートアップとして事業として戦っていこうねっていうのをほんとここ最近明確化して、あれを決めたのはすごくよかったと思っています。すごく動き方がはっきりしたっていうのがよかったですね。
手嶋:正直松本さんに担当取締役でサポートはしてもらっているんですけど、実は最近まで私も福島さんも含めて経営陣が何もプライバシーテックに貢献できていないことに罪悪感を持っていました。プライバシーテックを全社一眼となってできていないからそこは課題だっていう議論がよく経営陣で起きてましたね。
そこで発想を変えて、もう中村さんはアントレプレナーとしての素質があるから、むしろ自由にやってもらって、福島さんはSaaS事業に集中した方がいいんじゃないかって決まって結構すっきりしたのがプライバシーテックの位置づけですよね。
松本:プライバシーテックは難しいですからね。技術を理解せずに議論するのは難しいので、それを毎週の僕らの経営会議で全部の事業を詰め込んで議論していると、どうしても時間短くなっちゃいますよね。その中でみんながいい意見出せるかはわからないよねっていうのが続いていましたからね。そういう意味で思い切ってよかったなって、むしろ明確に議論をする時間を作ることですっきりとしたと思います。
手嶋:僕はこの1年1番の成果は、LayerXは複数事業体制で、各事業しっかりと伸ばせる集中力と体制が整えられたことかなと思います。多分来年再来年はそれぞれの事業を、3つの事業を集中して伸ばしていくことにつながると思うんですけど、多分これがうまくいけば、福島さん的には長期的にはもっともっと事業やっていきたいんですよね。
福島:そうですね。
手嶋:だからそこの土台がすごくでき始めているんじゃないかなって。グループ経営の姿形ができた1年かなと。しかもそれぞれの事業をしっかり伸ばせる体制が作れているので、そこはよかったなって思いますね。
松本:僕この会社来る前が、結構たくさんの事業見ている会社だったんで、なんかこの議論ってスタートアップでやる議論じゃないなってたまに思いながら、すごい頭のおかしい会社だなと経営会議で話をしていて思います。
手嶋:まあやれないしやるべきではないっていうのが通説だからね。
松本:うん。まあそこに挑んでいるわけですね。
31:25 採用改善の道のり:反省と改善
手嶋:一方、実は最近解決されつつあるんじゃないかなと思っているんですけど、年中苦戦したのが採用ですよね。
松本:まあ今も苦戦していますけどね(笑)
手嶋:でもちょっとムードは変わってきたなと。僕らは素直に反省したよね。僕らの考えが古かったっていう反省を明確にしたなと思っていて、そこから少しプラスに転じてきているかなって印象ありますけど、どうですか?
福島:シンプルに、LayerX魅力的だから入ってくれるでしょって驕りが少なくとも僕はあったし、みんなもどこかにあって。他の会社さん結構工夫しているじゃないですか、面接プロセスをどうとか、ほんとに営業するように採用ファネル分解して、しっかり泥臭いこともやってというような。じゃあ給与の決め方とかも他社をしっかり研究してとか。そういうビジネスマンとしての基本姿勢を忘れてたなっていうのが反省ですよね。
なので自分たちの都合で自分たちの基準で、自分たちがオファーを出したら選ばれるっていうなぜか謎の傲慢さがあって。そこでやっぱりなんか悔しい思いをいっぱいしました。LayerXとこういう会社を併願していて、僕らも変にプライドがあったんで、いや併願するような会社じゃないでしょ、うち来るでしょ、みたいな変な傲慢さがあった。
手嶋:あったあった。で選ばれなかったんだよね。
福島:もっと候補者の気持ちに立ち返って、なんでうちって選ばれなかったんだろう?、どういう話し方、どういうオファーを出せば来てもらえるか?っていうのを1個1個、石黒さんとかもメルカリとかで経験してプライドあったと思うんですけど、1回アンラーニングして、徹底的に顧客視点というか、採用候補者の目線に立ってやった結果、僕もやっぱプラスに変わってきてるかなって感じました。
やっぱりいい人がうちを、いろんな会社を併願してもうちを選んでくれるようになっている、っていうのがあって、そこの驕りがなくなりましたね。
手嶋:正直エンジニアの方とかは、何連敗がした時期があったもんね。
福島:しかも本当に欲しかった人で。
手嶋:ほんとにリスペクトするような人だったもんね。
福島:1番甘い見積だったのが、3月松本さんが入ったじゃないですか。僕これでもう勝負あったって思ったんですよ(笑)
松本:かいかぶりですよ(笑)
手嶋:みんな来るって思っちゃったもんね(笑)思ってた思ってた。
福島:もちろん松本インパクトは大きかったんですけど、ちゃんとやらないと人は来ないなっていう当たり前の事実に気づいた。
松本:採用パイプラインの重要さに気づいたって感じですね。石黒さんの提案でMeetyやろうって言って。
手嶋:あれ石黒さんもスイッチ入ったよね。プロフェッショナルとして、ようするにこれは自分のプライドをかけた活動だってとこで、言いにくかったとこあるけど、遠慮なく言い始めたもんね石黒さんも。
福島:確かに。あれくらいから一気に変わりましたもんね。
手嶋:採用のMeetyムーブメント起こったもんね。
松本:びっくりしましたよ、あれからMeety自体が流行り出しましたもんね。
手嶋:松本さんのMeetyで何人くらいまで内定いったんでしたっけ?結構いい人採れてますよね?
松本:6、7人は採れてますね。結構な率な気がします。
手嶋:しかも普通だったら転職市場に出てこないような人たちが、カジュアルに来てくれたって感じですよね。
松本:いやほんとに、これから入社なんですけど、CTOみたいな方とか、そういう人に会って、そのままうちに転職してくれてるみたいなこともあって。なんかやっぱ泥臭く会うって大事だなって思いましたね。
36:40 社内に巻き起こるインターンMovement
手嶋:あと最近のLayerXで感じているのは、インターン生ムーブメント。
インターンさんめちゃくちゃ優秀!あれはなんかもっと早くやっておけばよかったよね。
福島:これ一応自分の仕事したアピールをしておきますと、2回前の経営合宿、7月、まさに採用をやるぞってときに、僕と石黒さんでもう当然エンジニア採用も当然やるけど、インターン・新卒を切り開こうみたいな。
僕多分そのとき石黒さんと僕で3, 40人くらい会ってるんですよ。そこから今新卒内定している子とかも出ていますし。その子たちがやっぱ連れてきてくれるじゃないですか優秀な友達を。だからこうアジェンダに上げてやることってすごく大事だなと思います。
手嶋:そこもタイミングもよかったなと思っていて、昔の我々だったら学生うち選ぶでしょって思ってたかもしれないけど、今謙虚な気持ちでやっているから、インターンで当然来てくれても、新卒で入社してくれるとは限らないってわかっているから、やっぱり当然来てほしいなって思う人が多いんですけど、それは一人ひとりプロフェッショナルとしてコミュニケーションとるもんね、新卒候補とはいえ。
福島:インターンの子がどう一流のビジネスマンになっていくか、どうエンジニアになっていくかっていう、かっこよくいうと育成プラン。
松本:福島さんのあのスライド好きですね、「あなたがCTOになるための道」みたいな。
福島:そうなんですよ、あれ結構調べて。僕とか松本さんとか業界見てきた中で、こういう人たちがCTOとして活躍してるのを僕らは当たり前と思っているんですけど、全然当たり前じゃないですよね。ベンチャー来てこういう経験をして、こういうストレッチした経験をすると、CTOへの近道だよねっていうのって意外とこっちからめちゃくちゃ説得力をもって伝えないと響かない。まさに謙虚になってこメッセージ1つすごい練って考えるようになりました。
39:57 D&Iポリシー:バイアスの適正化
手嶋:しっかり伝えないと伝わらないよね。それは中途採用の候補者の方にもそうだし、学生さんにも、我々比較的反省を元に今誠実に向き合えてうまくいき始めているかなっていう印象はありますよね。あとはD&Iポリシーを6月に策定しているんですけど、実はちょっと今だから言える話できくと、この時点では女性社員がかなり少なかったですよね。
松本:ほぼいなかったってレベルですよね。
手嶋:正直ドキドキしながらD&Iポリシーを出しましたと。我々性別をね、ダイバーシティとしたわけではなかったので、相当意識してテコ入れしましたよね。女性比率をやっぱり適正化しないといけない、男性が多すぎて異常な状態なんでいろんな才能集めたいなっていうので。これも前は結構失敗してましたよね、比較的に会社を見る視点とか少し違ったりもするから、そこを理解していなかった。
福島:まさにバイアスがありましたよね、僕らの中に。僕らは男性的論理に縛られていたんだっていうことをきちんと気づくきっかけにはなったなと思っていて、そこから何か会社の仕組みとか働きやすさとか、会社の中の言葉遣いとか、ものすごく気を遣い始めましたね。それが普通だよねって言えるようになったのが進化だと思います。
手嶋:だからそういう意味だと事業的には、SaaSの経験者が入ってくれる中でうまくいったとか、合弁先の三井物産とか、三井住友信託銀行の方に助けられてうまく立ち上がってきつつあるとかがありますけど、採用, 組織運営では、強烈な反省を一度しましたよね。
なんでこの会社さんに採用で競り負けるのかがまったく理解できないところからスタートして、起動修正できて本当によかったなって思います。また来年課題色々出ると思いますけど、いい状況で年内を終われそうでよかったなって感じていますね。
42:48 2022年の抱負
手嶋:じゃあそろそろ終わりの時間がなので来年の抱負など松本さんから、2022年の末までに、こんな会社にしていきたいぞって何かありますか?
松本:自分の納得のいく組織を作ることが来年中の宿題だと思っています。そこにはどんなカルチャーでどう人が増えていって、どう一人ひとり楽しく仕事をしているか、そういったところにちゃんと答えを出し続けたいです。「LayerXっていうのはこうやって大きくなるんですよ」っていうのを自信持って答えられるようにしたいのは一番思うところですね。
事業進捗的なところはどの事業部も出していくんで、それにプラスして組織というところを頑張っていきたいなと思います。
手嶋:ありがとうございます。福島さん来年の1年、どんなことやってやろうって感じですか?
福島:スケールするために大事な1年になると思っています。今年1年やったことは個人の努力とか情熱とかで、組織化してなくても達成できることをやったと思うんですけど、これを再現性をもってチームでやれるようにすることができるかできないかで、今後のLayerXが大きく変わってくると思っているので、そこを何かまさに組織がスケールするかみたいなところを経営としては一番やりたいなと思っています。
もう1個は矛盾するようなんですけど、大きくなると捨て去ってしまうようなものにこだわりたいなと思っていて。例えばうちのトップセールスに宮ちゃんって人がいるんですけど、前に「群馬に今どうしても契約をとりたい会社さんがあって、金曜の夜に群馬の本社に行ってきました」とかよくわからないこと言ってたんです。
どんな人が働いてるのかを見てきましたみたいな、この狂気と言うかプロダクトや営業に対する圧倒的なこだわりところがうちが評価されているところだと思うんです。うちが100人の組織になってもCSとかミーティングで出た一つの違和感とか、一つの使いづらさにこだわって全速力でみんなで解決するところって、大きくなっても保てるかが課題です。
スケールさせるってことは標準化していくってことなんで、そういう狂気を削ぎ落していくことだと思うんですけど、一方で狂気を保てるかの相反するところを両立させたい。プロダクトとか顧客に対する徹底的なこだわりと、そうじゃなくても活躍できますよみたいな組織としての器を両立させたいなと。
手嶋:ありがとうございます。まあ本当に、自画自賛じゃないですけどLayerXにとっては本当にいい1年になったのかなと思います。
今年は振り返るとよくピポットできたなって言っていた時期もありますけど。来年からは新しいLayerXの姿として伸ばすことに集中、いい意味でいい会社にしていくことに集中できる1年なのかなって思います。今年(2021年)の中ごろ、まだブロックチェーンの会社って思われてるって悩んでたもんね。そこはさすがに社内では話題にならなくなってきたから。来年もLayerX一同頑張っていきましょう。
あとこれ聞いて興味持たれた方は是非、コンタクトしてきてもらえたりバクラク請求書使っていただいたり、応援していただけるとありがたいなと思います。
松本さんと福島さん、ありがとうございました。
福島・松本:ありがとうございました。